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「本」に込められた“熱意” と “現実”を、アツく語ります。
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| [N・17] 2005/2/23 全然知らなかった日本国憲法・1 |
| トランスビューは株式会社を名乗っているが、普通の会社にするつもりは全然ない、優れた編集者がやりたい企画を実現するためのフリースペースとして使ってもらえればよい、編集者にも印税方式で払います、とあちこちで吹聴していたら、かつてPHP新書の副編集長をしておられた小木田順子さんから、憲法の本を作りたいというお話があった。 小木田さんの作る本は、和田秀樹『大人のための勉強法』というような大ベストセラーもあるが、鷲田清一、加地伸行といった正攻法の学者の、しかもタイムリーな企画もあって、ずっと気になる編集者の一人だった。実際、2年前にPHP研究所を辞められるときには、20社くらいの編集者が集まって送別会を開いたほど、惜しまれる人だった。その人が出版の世界に復帰して、第一弾の本を出すのにトランスビューを選んでくださったというのは、まことに有り難いことだ。否も応もあるはずがない。 というのは半分本音、半分建て前で、正直なところは、日本国憲法ねえ、という気持ちだった。昨今の改憲論議は、自民・民主が同根である以上、押しとどめようがないだろうし、憲法本の内容といえば、まあ象徴天皇制、国民主権、平和主義といった小学生でも知っている内容にならざるを得ないだろう。天皇陛下が日の丸・君が代の強制はやめなさい、皇后陛下がみんなが平和に静かに生きてゆくことを望んでいます、とあれだけはっきり仰っても反省しない政治家が大半なのだから、いまさらまっとうな憲法本など出してもどうしようもない、という気持ちだった。 ただひとつ、敏腕編集者らしい目のつけどころだと思ったのは、著者が伊藤真という、「伊藤塾」(司法試験の受験塾)塾長を務める、司法試験界では知らぬ人のない超カリスマだという点だった。もちろんその世界だけの超カリスマだから、私などは全然知らない。しかし都心の大書店の司法試験受験のコーナーを見ると、伊藤真先生の書棚占有面積は、とにかく「凄い」の一言に尽きる。某宗教団体の長などまったく問題にならないほどのスペースなのだ。 というわけで、伊藤先生に講義をしていただいてテープに取り、それを岡田仁司さんというライターが原稿にし、小木田さんが編集するという段取りになった。私もまあ、優れた編集者がどんなふうに仕事をするのかは見ておいて損はないと思い、全部で5回の講義のうち、初回だけは同席することにした。面白ければ続けて出席し、つまらなければ一回だけというつもりだった。 それが、自分が受けてきた教育はいったい何だったのかと根こそぎにされるような反省を迫られ、そしてなんと形容していいかわからない、目からウロコが落ちるというよりは、目玉そのものが入れ替わってしまうような経験になろうとは、無論そのときまで知るよしもなかったのである。 (次回に続く) |