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更新:2012.08.08


[品切]  2012年8月 『オウム真理教事件T 武装化と教義』 『オウム真理教事件U カルトと社会』 として新装刊行

オウム なぜ宗教はテロリズムを生んだのか表紙画像 オウム なぜ宗教はテロリズムを生んだのか

島田裕巳[著]
A5判上製・541頁・定価3990円(税込)/2001年7月刊行/ISBN:978-4-901510-00-4(4-901510-00-2)


オウム事件は宗教の問題であるとともに、日本的な組織の問題でもある。
高い教育を受け、理想を求めた若者たちが、なぜあれほど凶悪で悲惨なテロリズムに走ったのか?事件の全体像を解明し、組織社会の病理を抉るオウム理解の必読書。

[著者] 島田裕巳(しまだ ひろみ)
1953年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻、宗教学。オウム事件に際し、事実誤認報道に基づくメディアのバッシングに遭い、日本女子大学を辞任。その後、オウムの考察を糸口に、探求の対象を現代日本社会全体にひろげ、其の成果は、『オウム-なぜ宗教はテロリズムを生んだのか-』に結実した。またこの間、劇作にも手を染め、戯曲作品『五人の帰れない男たち』『水の味』が上演された。
著書に『戒名』(法藏館)『宗教の時代とは何だったのか』(講談社)『個室』(日本評論社)ほか多数。 訳書に『エリアーデ世界宗教史』第3巻(共訳、筑摩書房)など。
刊行にあたって

オウムの存在が広く知られるようになった1980年代末から1990年代はじめにかけて、「宗教ブーム」ということが言われた。

しかし、私を含め宗教学の研究者は、世間で言われる宗教ブームに実体はなく、決してブームではないという分析を行なった。たしかに、高度経済成長の時代に、創価学会をはじめとする日蓮系の教団が急速に勢力を拡大したのとは様相を異にしていた。

だが、今から振り返ってみると、その認識には誤りがあったように思われる。私たち宗教学者は、その時点で、日本が情報化社会に突入していたことを十分に認識できていなかった。情報化社会では、仮想現実の世界が現実の世界以上に重要な役割を果たす。そうした社会においては、ブームと言うに値する実体が存在するかどうかは問題ではない。ブームであるという情報が存在するのであれば、それは間違いなくブームなのである。

実際、宗教ブームと言われた時代、マスメディアにおいて、さまざまな宗教にまつわる現象が取り上げられた。自己開発セミナーのように、宗教に類似した現象も注目を集めた。宗教教団の側も、情報戦略を展開した。そして、宗教学者という存在が脚光を集め、社会的に発言する機会を与えられた。

それまで、宗教学という学問領域は、社会的に認知されているとは言えなかった。中沢新一が登場するまで、一般にも名前を知られた宗教学者というものはほとんど存在したなかった。わずかに、岸本英夫の名前が知られていたかもしれないが、それも、宗教学の業績を通してではなく、先駆的なガンの闘病記『死を見つめる心』の著者としてだった。

二十世紀の終わりに、宗教ブームが生まれたのも、経済至上主義を追求してきた戦後の日本社会がバブル経済へと向かわざるをえなかったことの反映である。経済の発展によって、本当に人間は幸福になれるのか。そうした疑問が生まれたからこそ、宗教が注目され、宗教について語る宗教学者にも発言の機会が与えられた。

その際に宗教学者は、ただたんに宗教ブームの実在を否定するのではなく、宗教のもつ可能性について、徹底的に考え抜くべきだった。ここで言う可能性ということばには、必ずしも肯定的な意味はない。宗教という現象がいったいどこまで現実の世界を、現実の常識や良識を超越していくのかということこそが、宗教の可能性ということばの意味するところである。
オウムの事件はまさに、この宗教の可能性を、私たちにつきつける結果となった。ヨーガ教室としてはじまった集団は、仮想現実の世界にとどまらず、社会全体を破壊するテロリズムへと発展し、現実に多数の人間を殺傷した。宗教ブームは、冷戦構造の崩壊とともに活性化した、宗教原理主義の台頭という世界史的な出来事の一環だったのである。

宗教学者が宗教ブームの一端を担ったのだとすれば、宗教ブームから生み出されたオウムとその事件について徹底した分析を加えることは、宗教学者に課せられた責務であろう。

『オウム なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』で私が行なった分析によって、そのすべてが解明されたわけではないであろう。しかし、少なくとも分析を進めていくためのきっかけを作ることはできたのではないだろうか。


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書評・紹介記事など
・中外日報(2001.07.28)著者インタビュー
・日本経済新聞(2001.07.29)島薗進氏書評
・朝日新聞(2001.08.05)与那原恵氏書評
・共同通信社配信(2001.08)芹沢俊介氏書評
・書標(2001.08)福嶋聡氏書評
・週刊文春(2001.08.30)有田芳生氏書評
・第三文明(2001.10)著者インタビュー
・信濃毎日新聞(2001.09.02)森岡正博氏書評
・文学界(2001.10)宮崎哲弥氏によるインタビュー
・諸君(2001.11)橋爪大三郎氏との対談
・中央公論(2001.11)与那原恵氏によるインタビュー
・朝日新聞コラム「窓」(2001.10.17)
・アエラ(2001.11)関連記事
・Yomiuri Weekly(2001.12.09)著者インタビュー
・Japan Times(2001.12.11)著者インタビュー
・朝日新聞(2012.07.01)一から読むオウム 中島岳志さんが選ぶ本

関連情報リンク
・島田裕巳の「経堂日記」


目次
序章 オウム事件と私
私の責任/オウムの復活/「先生は・・・・・」/林郁夫の告発

第一章 事件は解明されたのか
検察側冒頭陳述/武装化の経緯/憎悪という理由/挫折と成功/憎悪説への疑問/終末論からの解釈/ハルマゲドンの信仰/終末論の機能 救済としてのサリン

第二章 ヨーガからの出発か
独学のヨーガ/ヨーガ道場として/ヨーガの技法/麻原の解脱/宗教へ教団の誕生/一番弟子の解脱/教義の集大成/総本部道場開設

第三章 グルイズムへの傾斜
マハー・ムドラーの成就/リンポチェに教えられたもの/出家主義への転換忍辱精進極厳修行/マハー・ムドラーの日常化/極厳修行での体験/マハー・ムドラーのからくり/グルイズムの確立/グルの優しさと怖さ/グルイズムのモデル/尊師の意思という幻影

第四章 殺人を肯定するヴァジラヤーナの教え
「人を殺しているからね」/社会との対立/敵の抹殺/衆議院選挙の敗北/聖無頓着の教え/変貌する教団/薬物による洗脳/省庁制度の導入/幹部の独走

第五章 なぜ無差別大量殺人は敢行されたのか
「ひとを千人ころしてんや」/アニメの受け売り/ポアの論理/殺生戒の逆説/グルの奇抜なパフォーマンス/逮捕という試練/シヴァ大神のフォーム/実行の中心/お神輿としてのグル/悪業の恣意性/被害妄想と行き過ぎ/解脱の真偽/イニシエーションなき解脱

第六章 実践されたチベット密教
オウムは仏教か/伝統の上に/阿含宗という基/ヨーガの源流/『虹の階梯』/原始仏教の影響/『秘密集会タントラ』/仏教原理主義として/マハー・ムドラーとポア

第七章 信者がオウムに求めたもの
「感じがいい、いいやつ」/壁を越えない出家/入信の動機/虚しさからの解放/快楽としての修行/オウムの居心地/儀礼なき宗教/社会からの引きこもり/失われた共同体

第八章 村上春樹のオウム事件
アンダーグラウンド/ずさんさと愚かさと/暴力の共時性/井戸にさす光/宗教学者Sの沈黙/GODZILLA対ゴジラ/潜在体という生命/都市と自然/恐怖と憎悪

第九章 バッシングと宗教学の方法
バッシング/評価の理由/統一協会の問題/教え子の問題/記事の書かれた経緯/元信者として/宗教学の方向性/生きた宗教/宗教との距離/宗教学の危機

第十章 オウム問題の現在
謝罪を拒否し続けた教団/巧妙な生き残り策/麻原の影響/マハー・ムドラーという回路/ヴァジラヤーナからの決別/信者たちの行方/強いられる共生/脱会者のケア/オウムに行かせないために/宗教のカルト化/麻原の脱神話化/オウム問題の解決にむけて

終 章 私たちが学ぶべきこと
信じやすい心/理科系信者/性的抑圧と暴力/責任回避型社会からの離脱/宗教教育の必要性/私たちのこれから
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本文より



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