著者からのメッセージ 本書の執筆動機をありていに言えば、見送りできなかった母の死にある。母の死後、続けざまに、六五歳を前後する長兄、長姉、次兄がこの世を去った。いまの時代、どうみても早すぎる肉親の死に、いつしか私は、人間にとっての「生と死」について少しずつ考えるようになった。 近年、私のこの内なる動機を一層かり立てる、いくつかの外なる動機が持ち上がった。 一つは、一九九七年の「臓器移植法」の制定と、これにもとづく「脳死」の問題である。この未曾有の問題について、私は門外漢ながら、出講先の看護学生と「哲学」の授業を通して、一緒に勉強する機会に恵まれた。このことが私を「生と死」の一大テーマにのめり込ませていった。more>>>